なぜあなたの説明は上司や部下に伝わらないのか?

なんだか年を取るにつれて他人の話をあまり聞かなくなってきた気がします。
皆さんはどうでしょうか?

そんなことを考えているからかどうかわかりませんが、近ごろミスコミュニケーションによるトラブルについてよく耳にするようになりました。あなたも

  • 何回説明しても理解してもらえない
  • 相手と話がかみ合わない
  • こちらの話を間違って解釈されてしまう

など感じたことはないでしょうか?

「人の話をしっかり聞いていないのが悪い」
とつい片づけてしまいたくなりますが、もちろん職場の治安が悪ければそれが原因であるのは十分にあり得ますが…

そうではなく、もう少し健全な組織でのミスコミュニケーションについて考えてみましょう。

人は聞いた話をどこまで理解しているのか?

自慢ではないですが、私は部下の指示だけでなく上司への説明、打ち合わせでのファシリテーションでこちらの意図が伝わらずに困ったことはほとんどありません。

また、今まで多くの人と仕事をして様子を見てきましたが、自分と他者を比較してみると、どうやら「聞く力」ではなく「伝える力」が不十分なのが原因であると考えるようになりました。

以前とある上司が部下に対してこんな風に指示していたのを聞きました(内容は一部修正しております)。


上司

ユーザーがアプリからAPIを通じて外部サービスのデータを取得する機能を実装してほしい。構成としてまずユーザーがアプリからAWSにアクセスしてRequest Paramをマッピングし直したのちにLambdaが外部APIを呼び出してその結果を返すようにしてくれ。ただしアカウント情報が間違っている場合はユーザーをログイン画面に戻すように。

部下

承知しました。外部サービスにログイン情報を送って、違ったらエラーが返ってくるからその場合はログイン画面に遷移させればいいんですね?

上司

違う、そうじゃなくてその前にCognitoで認証処理を行うからそこで失敗したらログイン画面に遷移させてってことだ。

部下

なるほど、アプリ側でCognitoを読み込んで成功してからLambdaで処理を行うということですね。

上司

いやいや、CognitoのところもAWS側でやるんだよ。

部下

…???


結局部下はこの話を理解するのにかなり時間がかかっていました。
用語がいろいろ出てくる、前提条件が事前に説明されていない、誤解の招きやすい表現など要因が多いほど話は複雑になり、先に話していた内容も記憶から抜けていきます。

会話と記憶力だけでは限界があります。

図を使って視覚的に説明する

私は普段から図を使って説明するように心がけております。

先ほどの例を使うのであればこんな感じです。


ユーザーがアプリからAPIを通じて外部サービスのデータを取得する機能を実装してほしんだが構成はこんな感じになるように。認証がOKだったら2のリクエストをマッピングして(5と6あたりを指さしながら)ここを実行するように。


これだけでは大事なことについて十分に説明できていませんが、何となく何が伝えたいのかが理解できるかと思います。そこから次のコミュニケーションが生まれますのでさらに深く掘り下げていけばいいのです。

他にも図を使って説明することでこのようなメリットがあることに気づきました。

1. 全体を俯瞰しやすくなる

詳細や根拠は一切説明できておらず不正確な点も多々ありますが、少なくとも相手は全体像をざっくり理解できるようになります。
もし、全体像の認識にずれがあった場合は相手は素早くそれに気づき、的確に指摘することもできます。

2. どこについて話しているかがわかりやすくなる

これから自分がどこについて説明しようとしているのか相手はすぐわかるようになります。

3. 共通の認識(ユビキタス言語)を使ってやりとりすることができる

バックエンドで動いているコンピューティングシステムのことを「AWS」と呼ぶのか「Lambda」と呼ぶのかでいちいち議論することがなくなります。使う言葉を統一することで誤解が発生しにくくなります。お互いの認識にずれがなくなり、しまいには「これ」とか「それ」で会話がすすむようにもなります。

4. 簡単に記録に残すことができる

説明したことをわざわざ文字に起こすのは大変ですが、図を使えば比較的容易に記録として残すことができます。

5. 文章だけよりも理解しやすい

文章は冗長的になりやすく、理解にも時間がかかりますが、図を使えば簡潔にまとめられ、右脳も刺激するため直感的に理解できます。また図を書く行為そのものに自身の理解を整理する役割もあります。

図を使って説明していますか?

私もクラス図やER図を見ながら話をしているエンジニアはちらほら見てきましたが、普段のコミュニケーションや打ち合わせで積極的に図を使っているひとはほとんど見たことがありません。

これは何となくですが、偉い人達の打ち合わせほど口頭でのやりとりが多く図を使うのが少ないように感じます。

エンジニアリングの話もマーケティングや商品企画の話も複雑で、会話や記憶だけで理解できるほど簡単なものではないはずです。

紙とペンがあるなら、ホワイトボードがあるなら、もっと積極的に使いましょう。

では紙やペン、ホワイトボードがない場合は?
メールやコミュニケーションツールを使っている場合はどうすればいいのか?

そもそもどのようにして図を活用すればいいのか?

次回の記事では具体的に私がどのようにやってきたのかついて説明します。

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