オフショア開発や共同開発する前にマネージャーが注意しておきたい3つのこと

近年ITシステムの需要の増加に伴い、国内ベンダーの増加にとどまらず、オフショア開発を採用する企業が増えています。
また、日本進出を目指す海外企業と提携して共同開発する機会も聞くようになりました。
このように前向きな姿勢を見せる企業も増えてきておりますが、今回も私の実体験を踏まえて海外企業と協同する際に気を付けておきたいことについてお話します。

開発費が安いオフショア開発。だけど…

事実、オフショア開発においては国内ベンダーと比較すると費用が安く、中国やベトナムであれば国内ベンダーと比べておよそ半分以下で済むともいわれております。
経営陣から見れば嬉しい情報ですが、当然リスクもあります。「オフショア開発 失敗」と検索するとわかりますがすでに多くの失敗事例が存在しているのです。
理由は何なのでしょうか?

一言でいえばオフショア開発におけるプロジェクトマネジメントの難易度が高いことです。
その要因は慣習やコミュニケーションスタイルの違いといった文化的なものからエンジニアの教育レベルやセキュリティリスクの管理といった技術的なものまで様々です。
普段当たり前のように行っていることでさえオフショア開発プロジェクトでは問題となる可能性があるのです。

自社プロジェクトでさえ悲鳴が上がっているのをよく聞くのに、経験の浅いプロジェクトマネージャーがオフショア開発のプロジェクトマネジメントを行ったらどうなるかは想像に難くはありません。

実体験して分かったオフショア開発の苦労

ここからは私の実体験をお話します。
過去に海外企業に対して共同開発及び発注管理の両方の立場でプロジェクトに関わってきたことがありますが、実際に苦労した点として主に3つあります。

1. 商習慣やビジネスルールの違い

日本ではお偉いさんと打ち合わせを行う前に「根回し」をすることがあるでしょう。また、日本の伝統的な企業では承認フローが何段階にも用意されており、最終意思決定者の承認が得るまでに時間を必要とします。
一方でアメリカや中国ではその担当者に最終意思決定を任せることがあり、取引や打ち合わせが非常にスムーズに行われます。
このような違いが双方の関係に歪みを生むことがあります。

また、現地と海外でのビジネスルールが違うことがプロジェクトの課題になることがしばしばあります。
ヨーロッパではすでにキャッシュレス経済が浸透しています。最近こそ日本でもキャッシュレス経済が進んできているもののそれまでは現金が主流であり、今でも電子マネーが使えないところも存在しています。
海外企業が決済方法のギャップを認識していなかったことで日本で展開しようとしていたサービスに見直しが必要になりました。

このように商習慣やビジネスルールの違いは要件定義やスコープ管理に影響を与えます。

2. 時差や祝日

「7月31日 午前10時までに打ち合わせを行います」という話になったとして、その時間はどちらの国の時刻でしょうか?また、そのとき他方の国は何時でしょうか?
時差によって両社が共にアクティブである時間が短くなります。そうなれば、打ち合わせの時間調整が大変なだけでなく、コミュニケーションのテンポがおそくなり問題の解決に時間がかかります。

なお、すでにご存じの通りプロジェクトの失敗につながる大きな要因の一つに「コミュニケーション不足」があげられています
相手がアジア圏であれば数時間程度で済むでしょうが、アメリカやヨーロッパ国であった場合は10時間以上離れていることもあります。
私の参画したプロジェクトでは、6時間の時差のせいで質問をしても返答に丸一日かかることがざらにありました。

また、祝日の存在もプロジェクトに影響を与えることがあります。
日本が平日だからと言って同じ感覚でスケジュールを立ててしまうと、中国の旧正月で相手が稼働不可といった事態が発生し、プロジェクト完了日が延びてしまいます。

3. 言語コミュニケーション

オフショア開発や共同開発の最大の懸念要素なのが言語コミュニケーションです。母国語やコミュニケーションの性質が違う中、相手に伝わるようにするにはどうすればよいかは常に悩みの種となりました。
オフショア開発の成功事例が多く報告されているのはアメリカ – インド間のプロジェクトですが、その最たる理由が「英語が共通言語であるから」です。

コミュニケーション言語が日本語および英語のプロジェクトに対してそれぞれ違った苦労がありました。日本語の場合は例えば、

  • 相手は日本語は話せるが、言葉の意図を正しく理解できていない
  • 相手の日本語が時々おかしくて解釈に苦労する

といった感じで、英語の場合は

  • こちらが英語力不足の場合は通訳を挟む必要があり、会話のテンポが遅れる
  • 相手が非ネイティブ英語圏の場合、お互いの発言の意図が正しく伝わっていない可能性がある

などがありました。

また、共通して言えることとして絶対に相手に空気を読んでもらうことを期待してはいけません

リスクマネジメントが超重要

海外企業が関わってくるプロジェクトでは何が起こるか想定するのが非常に困難です。私が経験してきたこれらの苦労もオフショア開発における課題のほんの一部にすぎません。

私はオフショア開発ではリスクマネジメントが非常に重要になってくると感じています。
もし社内でオフショア開発を行うことになったら、マネージャーはオフショア開発で発生しそうな課題について調査しましょう。

P.S

どうやら日本人スタッフが間に入ってコミュニケーションの橋渡しをしてくれるオフショア開発企業もあるようです。
費用対効果がいいかはわかりませんが企業選定の基準の一つになりそうですね。

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